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重要事項説明書の必須記載10項目チェックリスト – デイサービス事業者が押さえるべき法令上のポイント

2026.05.01
契約・法務

LEGAL & COMPLIANCE|契約・法務

「重要事項説明書、最後に見直したのはいつですか?」——多くのデイサービスで、重説の更新が改定や運営規程変更に追いついていません。実地指導や監査で必ずチェックされる重要書類です。本稿で必須10項目を体系的に整理しました。

📋 この記事のポイント

  • 重要事項説明書は厚労省令で定められた法定書面。記載漏れは指導・指定取消対象
  • 通所介護で必須となる10項目を法令ベースで整理
  • 介護報酬改定・運営規程変更の都度、重説の更新が必要
  • 記事末尾に「セルフチェックリスト」を掲載

01重要事項説明書の法的位置付け

重要事項説明書(以下「重説」)は、利用契約の締結に先立ち、事業者が利用者に対して書面で説明することが法令で義務付けられている書面です。

根拠法令

通所介護(デイサービス)の場合、根拠は以下の通りです。

  • 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(厚生労働省令第37号、平成11年)
  • 同基準 第98条(内容及び手続の説明及び同意)

同条では、事業者は「サービスの内容及び利用料その他の必要な事項」を記載した文書を交付し、説明を行い、同意を得なければならないと定められています。

⚠ 法的位置付け

重説の不備は、運営基準違反として実地指導での指摘事項になります。重大な不備や是正勧告に従わない場合は、指定取消・効力停止の処分対象となり得ます(介護保険法第77条等)。

運営規程との違い

運営規程(基準第100条)は、事業所が遵守すべき「内部規律」です。一方、重説は、その運営規程の内容を含めて、「利用者に対して説明する書面」です。

重説は運営規程をベースに作成するのが一般的ですが、運営規程に書かれていない項目(苦情窓口の電話番号等)も含む必要があります。

02必須記載10項目(チェックリスト)

通所介護の重要事項説明書に必須となる10項目を、実務観点で整理しました。各項目について、よくある記載漏れも併せて記しています。

事業者の概要

  • 事業者名(法人名)
  • 代表者氏名
  • 事業所の名称
  • 事業所の所在地
  • 連絡先(電話・FAX・メール)
  • 事業所番号(10桁の指定番号)
  • 指定年月日

運営の方針

  • 事業の目的
  • 運営方針
  • 運営規程の主な内容(参照可能な形で)

提供するサービスの内容

  • 提供するサービスの内容(食事・入浴・機能訓練等)
  • 利用定員
  • 営業日・営業時間
  • サービス提供地域
  • 送迎の範囲・方法

従業者の勤務体制

  • 職種別の人員配置(常勤・非常勤の別)
  • 有資格者の人数(介護福祉士等)
  • 管理者・生活相談員・看護職員・介護職員・機能訓練指導員等

利用料

  • 介護給付費の自己負担額(1〜3割)
  • 各種加算(個別機能訓練加算、入浴介助加算等)の単位数と自己負担
  • その他の費用(食費、おやつ代、教養娯楽費、おむつ代、日常生活費等)
  • 支払方法・支払期日
  • キャンセル時の取扱い

⚠ 介護報酬改定の都度、単位数・自己負担額の更新が必要です。

苦情処理の体制

  • 事業所内の苦情受付窓口(担当者名・連絡先)
  • 受付時間
  • 外部の苦情相談窓口
    • 市町村の介護保険担当課
    • 都道府県国民健康保険団体連合会(国保連)
    • 運営適正化委員会等

事故発生時の対応・損害賠償

  • 事故発生時の対応手順(家族・市町村への連絡等)
  • 損害賠償責任の範囲
  • 事業者の加入する損害賠償保険の概要
  • 免責事項(利用者の故意・重過失による事故等)

緊急時・非常災害時の対応(BCP)

  • 急変時の医療機関との連携体制(協力医療機関名)
  • 非常災害対策(消火・避難計画)
  • 業務継続計画(BCP)の概要
  • 感染症発生時の対応

⚠ BCPは2024年4月から完全義務化されています。重説への記載漏れに注意。

個人情報の取り扱い

  • 取得する個人情報の種類
  • 利用目的
  • 第三者提供の範囲(ケアマネ・主治医等への情報共有を含む)
  • 守秘義務
  • 開示・訂正・利用停止の請求方法

虐待防止・身体拘束の方針

  • 虐待防止に関する方針・体制(虐待防止委員会、研修等)
  • 身体拘束の原則禁止と例外的に認められる場合の手続き
  • 不適切ケア発見時の通報窓口

⚠ 虐待防止措置は2022年改定で義務化、2024年から減算対象となっています。

03よくある記載漏れ・NG例

実地指導でよく指摘される、典型的な記載漏れ・不備のパターンを整理しました。

パターン具体例
単位数の未更新2024年改定後も2021年単位のまま
加算の未反映新規取得した加算(科学的介護推進体制加算等)が記載されていない
外部苦情窓口の不備市町村・国保連の連絡先が古い、電話番号変更が未反映
BCP記載漏れ2024年義務化後も追記されていない
虐待防止記載不足委員会設置のみで、研修・指針記載がない
人員配置の不一致重説の人員数と実態(直近の届出内容)が違う
サービス提供地域の不備運営規程と重説で記載が異なる

04更新タイミングと運用

重説は「一度作って終わり」ではなく、以下のタイミングで更新が必要です。

更新タイミング更新内容
介護報酬改定時(3年に1度)単位数、自己負担額、新規/廃止加算
運営規程変更時変更内容を重説にも反映
人員体制変更時職種別の人数、有資格者数
加算の取得・廃止時該当加算の単位数・要件
事業者情報変更時代表者、所在地、連絡先等
関係法令改正時BCP、虐待防止、ハラスメント対策等の制度変更

💡 既存利用者への対応

重説を更新した場合、既存の利用者にも改めて説明・同意取得が必要です。料金改定があった場合は、施行前に新重説で説明・契約変更同意を取得し、施行日から新料金を適用するのが正しい運用です。

05説明・同意取得の実務

重説を交付するだけでなく、「説明し、利用者本人の同意を得て、同意の事実を記録する」ことが法令上の義務です。

同意取得のあるべき形

  • 重説を1部ずつ用意(事業所控え+利用者控え)
  • 説明者(生活相談員・管理者等)が口頭で説明
  • 利用者またはご家族に内容理解の確認
  • 利用者署名欄に本人または代理人の署名(または記名押印)
  • 説明者署名欄にも署名
  • 説明日付の記載

電子的方法による交付(2021年改定以降)

2021年4月から、利用者の同意があれば電子的方法(メール、PDF等)での交付が認められています(基準第98条第2項等)。ただし、以下の点に注意が必要です。

  • 事前に利用者の承諾を得ること
  • 利用者がアクセス・印刷できる方法で交付すること
  • 電子証明やデジタル署名等で同意の事実を記録すること

06セルフチェックリスト

現在の重要事項説明書を以下のチェックリストで点検してください。1つでも「✗」があれば、更新が必要です。

✅ 重要事項説明書 セルフチェック

  • □ 事業者の概要(指定番号・指定年月日含む)が最新
  • □ 運営方針・運営規程の内容と一致している
  • □ サービス内容・営業日・営業時間・利用定員が現状と一致
  • □ 従業者の勤務体制(人員数・有資格者数)が直近の届出と一致
  • □ 利用料が2024年改定後の単位数で記載されている
  • □ 取得している全加算が漏れなく記載されている
  • □ 苦情窓口(事業所内・市町村・国保連)の連絡先が最新
  • □ 事故発生時の対応・損害賠償保険の概要が記載されている
  • □ BCP(業務継続計画)について記載がある
  • □ 個人情報取扱いの内容が記載されている(情報共有の範囲含む)
  • □ 虐待防止・身体拘束の方針が記載されている
  • □ 既存利用者にも更新後の重説で同意を取り直している

07まとめ

重要事項説明書は、利用者との信頼関係の出発点であり、同時に事業者を守る盾にもなる重要書類です。

✓ 本記事のまとめ

  • 重説は厚労省令上の法定書面。10項目を漏れなく記載
  • 介護報酬改定・運営規程変更・人員配置変更等の都度更新が必要
  • 更新時は既存利用者にも再説明・同意取得
  • BCP・虐待防止・個人情報の3項目は近年強化された分野。記載漏れに注意

「重説は契約時に1回作ればいい」という認識は、現代の介護事業運営においては通用しません。定期的な見直しと、関係法令変更時の機動的な更新が、リスク管理の基本となります。

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