SPECIAL FEATURE|2027年改定特集
3年に1度の介護報酬改定。次回は2027年4月施行予定です。本稿執筆時点(2026年4月)で議論が本格化しているこのタイミングで、過去の改定パターンから読み取れる方向性と、デイサービス事業者が今から備えるべきポイントを整理しました。
📋 この記事のポイント
- 2027年改定は2027年4月施行予定。社保審介護給付費分科会で議論進行中
- 過去3回(2018/2021/2024)の改定で共通テーマ:科学的介護・業務効率化・処遇改善
- 2027年改定で個別機能訓練加算・LIFE関連加算の見直しが想定される
- 今から備えるべき3つ:①加算棚卸し ②LIFEデータ提出体制 ③ICT化投資
01介護報酬改定とは(基本のおさらい)
介護報酬とは、介護保険サービスを提供した事業者が、保険者(市町村)から受け取る報酬のこと。3年に1度の頻度で改定されることが介護保険法で定められています(同法第41条第4項等)。
改定のたびに、加算・減算の新設・廃止・要件変更が行われ、事業所の収益構造に直接的な影響を与えます。
直近の改定スケジュール
| 改定年 | 主要テーマ |
|---|---|
| 2018年4月 | 自立支援・重度化防止、ICT活用、医療・介護連携の推進 |
| 2021年4月 | 感染症・災害対応、LIFE運用開始、認知症対応強化 |
| 2024年4月 | 処遇改善加算3種を1本化、業務効率化、看取り対応強化 |
| 2027年4月(予定) | 議論進行中(本記事のテーマ) |
改定までのプロセス
改定は、社会保障審議会の「介護給付費分科会」で議論されます。最終的には厚生労働大臣告示として公布され、施行されます。一般的なスケジュールは以下のとおりです。
- 改定2年前:分科会での議論開始
- 改定1年半前〜半年前:論点整理、業界団体・関係者ヒアリング
- 改定半年前:基本方針取りまとめ
- 改定3〜4ヶ月前:単位数・加算要件の最終決定
- 改定1〜2ヶ月前:告示・通知の公布、解釈通知発出
- 改定当月:施行
022027年改定の議論の現在地
⚠ 重要な前提
本稿は2026年4月時点の公開情報に基づきます。議論の進展や告示内容の確定により、本稿の内容と実際の改定内容に差異が生じる可能性があります。最新の議論状況は厚生労働省「社会保障審議会介護給付費分科会」のページで必ずご確認ください。
2027年改定に向けた本格的な議論は、社保審介護給付費分科会で進行中です。これまでに整理されている主要な論点として、以下のものが挙げられます。
- 科学的介護(LIFE)の更なる推進:データ提出と利活用のフレームワークの拡大
- 処遇改善加算の更なる充実:人材確保が引き続き最優先課題
- 業務効率化(DX・ICT活用):人員配置基準の柔軟化を含む
- 認知症対応の強化:在宅生活継続支援、家族支援
- 看取り・ターミナル対応の評価:通所サービスでの取り組み拡大
- 地域包括ケアの深化:医療との連携強化
これらは2024年改定でも継続的に議論されてきたテーマであり、2027年改定でも引き続き重要論点になることが見込まれます。
03過去3回の改定から見える3つの大きな方向性
2018/2021/2024の3回の改定を俯瞰すると、3つの大きな方向性が一貫して見えてきます。これらは2027年改定でも継続される可能性が高く、事業者として今からの備えを進める指針となります。
①科学的介護(データに基づく介護)の推進
2021年改定でLIFE(科学的介護情報システム)が本格運用開始。2024年改定ではLIFE活用を要件とする加算が拡大されました。この流れは加速こそすれ、後退することは考えにくい状況です。
デイサービスでは、科学的介護推進体制加算、個別機能訓練加算(II)、ADL維持等加算などがLIFEデータ提出を要件としています。
②業務効率化(DX・ICT活用)
慢性的な人材不足を背景に、業務効率化が改定の中心テーマであり続けています。介護記録のICT化、テレビ会議による情報共有の許容、見守りセンサーや介護ロボット導入を要件緩和の条件とするなどの動きがあります。
2024年改定では人員配置基準の一部柔軟化(テクノロジー活用を要件として)が導入されました。2027年改定でも、この方向性は継続されることが見込まれます。
③処遇改善(人材定着)の継続強化
介護人材の確保・定着は、業界共通の最大課題です。2024年改定では、それまで3つに分かれていた処遇改善加算(介護職員処遇改善加算、特定処遇改善加算、介護職員等ベースアップ等支援加算)が「介護職員等処遇改善加算」として1本化されました。
2027年改定では、この加算の更なる充実、または周辺加算(特定事業所加算等)との連動強化が議論される可能性があります。
04デイサービスへの想定影響
過去の改定パターンと議論されている論点から、デイサービスへの影響として以下が想定されます。あくまで推測の範囲ですが、心構えとしての参考にしてください。
想定される影響領域
- 個別機能訓練加算(I)(II)の要件・単位数見直し
- 科学的介護推進体制加算のデータ項目拡充
- ADL維持等加算の評価指標見直し
- 入浴介助加算の体制要件強化または評価見直し
- 認知症加算の対象者要件・体制要件見直し
- 処遇改善加算の更なる充実(区分追加または単位数引き上げ)
- 業務継続計画(BCP)未策定時の減算強化
これらは、過去の改定で議論されながら一部のみ実装された項目、または2024年改定で限定的な変更にとどまった項目です。次回改定でより本格的な変更が入る可能性があります。
05今から備えるべき3つの論点
改定内容が確定するのは2027年初頭の見込みです。しかし、内容が判明してから動き出すのでは、新加算の取得や要件対応に間に合わないケースが多々あります。今から動き始めることをお勧めします。
①加算算定状況の徹底的な棚卸し
多くの事業所で、「取れるはずの加算が取れていない」状況が見られます。改定を待つのではなく、現行制度下で取れる加算を漏れなく取得する体制を整備しておくことが、改定後の優位性につながります。
具体的には、以下の確認をお勧めします。
- 個別機能訓練加算(I)(II)の算定状況
- 科学的介護推進体制加算の取得
- ADL維持等加算の取得可能性
- 入浴介助加算(II)の体制要件
- 認知症加算の対象者状況
- 口腔機能向上加算・栄養アセスメント加算
- 処遇改善加算の現在の区分(より上位区分への移行可能性)
②LIFEデータ提出体制の整備
LIFE関連加算は今後ますます重要になることが見込まれます。データ提出を運用に乗せていない事業所は、本改定までに体制整備を進めることが望ましいでしょう。
具体的には、ADL(Barthel Index)、認知症(DBD-13、Vitality Index)、口腔(口腔機能評価)、栄養、褥瘡などの評価項目を、定期的に測定・記録・提出するワークフローの確立が必要です。
③業務のICT化(DX投資)
介護記録ソフト、勤怠管理システム、シフト作成ツールなど、ICTツールの導入は業務効率化と人材定着の両面で効果が見込まれます。
導入には費用がかかりますが、IT導入補助金などを活用することで、初期投資を抑えることができます(IT導入補助金については、当サイト「資金繰り・承継」カテゴリで別途解説予定)。
06情報収集のコツ
改定の動向を追いかけるには、以下の情報源が役立ちます。
| 情報源 | 活用方法 |
|---|---|
| 厚労省 介護給付費分科会 | 議事録・資料が随時公開。一次情報として最重要 |
| 都道府県・市町村 | 事業者向け説明会、解釈通知の運用ルール |
| 業界団体 (全国老施協・全国デイ協等) | セミナー、要望書、改定動向のまとめ |
| 専門家のメルマガ・SNS | 議論の方向性の解釈・補助線として |
当サイトでも、分科会での重要な進展があった際は速報記事でお知らせします。
07まとめ
2027年介護報酬改定に向けて、現時点で確実に言えることは限定的です。しかし、過去3回の改定の方向性と、現在進行中の議論内容から、デイサービス事業者として「今から準備しておくべき3つの論点」は明確です。
✓ 今から取り組むべきこと
- 現在算定可能な加算が漏れなく取れているかの棚卸し
- LIFEデータの提出体制の整備(運用フローの確立)
- 介護記録・勤怠管理など業務のICT化投資(補助金活用)
改定内容が確定するまで「待つ」のではなく、確定後すぐに動ける体制を今から整えること。これが、改定をピンチではなくチャンスに変える最大のポイントです。
当サイトでは引き続き、各論点の詳細解説・対応策の記事を順次お届けしてまいります。